糖尿病講座4 : 糖尿病だから目が白くなるの?

眼球

“糖尿病だと白内障はしょうがないですね。”といわれているワンちゃんがいるそうです。
白内障は糖尿病に付きものの症状なのでしょうか?

答えは“ノー!”

つまり白内障は糖尿病の合併症です。
ということは予防したり、悪化を防ぐことが出来るのです。
白内障とは目の奥にある水晶体(レンズ)が白くなることです。
ではなぜ糖尿病になると白内障になってしまうのでしょうか。
前回のお話したように筋肉、脂肪、肝臓などはグルコースを細胞内に取り込むのにインスリンを必要とします。
これに対して水晶体はグルコースを取り込むのにインスリンを必要としない組織の1つです。
このような組織では高い血糖値が続くと組織内でのグルコースの濃度も上昇してしまいます。
この状態が続くとグルコースをエネルギーに代謝するのが間に合わず、細胞内にはソルビトールとフルクトースという物質がたまるようになります。
ソルビトールは親水性なので細胞内にどんどん水分を蓄え、浮腫(むくみ)を引き起こします。
一方フルクトースはタンパクの糖化を促進し、細胞を傷害することになります。
この結果水晶体の構造は破綻を来たして白内障を発症することになります。
犬の糖尿病では糖尿病発症からわずか1~2ヶ月で白内障を発症してしまうことがあります。

ですから糖尿病を的確に治療して血糖値を正常化(具体的には150mg/dl以下)することにより、合併症としての白内障は予防・進行の抑制をすることができます。
実際に当院に通院している糖尿病の子のほとんどは発症から数年経っても白内障を合併していません。