糖尿病講座5 : インスリンは同じところに注射してはいけません。

インスリンのインジェクター
インスリンのインジェクター

今回はインスリン製剤の注射方法です。
インスリン製剤の種類とその歴史はまたお話しするとして、いずれのインスリン製剤もその注射方法に決まりとコツがあります。

私達獣医師が使用するインスリン製剤には大きく分けて静脈注射用と皮下注射用があります。
静脈注射用のインスリン製剤は短時間型のインスリンとしてレギュラーインスリン(ノボリンRなど)があり、主にケトアシドーシスなどで入院したときの治療薬として使用します。
これに対して皮下注射用のインスリン製剤は血糖コントロールのために日頃飼い主様が注射する治療薬です。
現在入手可能な皮下注射用のインスリン製剤はほとんどすべてがヒト用で、当院ではイヌ用としてノボリンN、ノボリン30R、ノボラピッド30ミックス、ネコ用としてランタスを用意しています。
これらは最大効果時間、効果持続時間が異なり、症例や病期よって最適なインスリンを使用します。
しかし、いずれの皮下注射用インスリン製剤でも注射をする際に守らなければならないことがあります。

  1. インスリン製剤は希釈してはいけない。
    希釈することによってpHが変化して効果が減少したり短縮することがあります。
  2. 同じところに注射してはいけません。
    インスリン製剤は同じところに注射してしまうと皮膚が硬くなってしまい、効果が減少することがあります。このため、少しずつ場所を変えて注射しなければなりません。
  3. インスリン製剤はインスリン用の注射器を必ず使用し、注射器内に吸引するには必ず気泡が入らないよう正確に必要量を吸引するようにする。
    インスリン製剤はわずかな量の違いで効果が全く変わってしまいます。このため、必ず正確な量を注射するようにします。

以上のことを注意して確実にインスリン製剤が効くように注射を行ってください。

糖尿病のワンちゃん猫ちゃんを日々治療するのは飼い主様です。
我々獣医師はそれをアシストする側となります。
かわいい“うちの子”に注射なんて・・・・と不安と恐怖を感じながら毎日注射されている飼い主様とても多いようです。

当院ではインジェクターを使用したり、注射の仕方を院内で練習して頂くなど、うまく治療できるように応援しています。