糖尿病講座9 : インスリン製剤にはいろいろな種類があります。(その2)

前回に引き続きインスリン製剤のおはなしです。
インスリンはタンパク質よりももっと小さいペプタイドホルモンというもので51個のアミノ酸が結合して出来ています。
さらにインスリンは6つの分子が結合すると結晶化して安定化する性質を持っています。

インスリンとして作用するときには再び1分子に分解して作用することになりますので、分解の速度が速いと作用が早く(速効性)、遅いとゆっくり効く(持続型)ということになります。

当院で使用しているインスリン製剤としては

ノボリンR : 速効型・ヒトインスリン(レギュラーインスリン)

生合成された(第二世代)インスリンで、静脈、筋肉、皮下どの注射法でも使用できます。
効果時間は静脈注射では30〜60分ほどですが、注射経路によって異なります。
主に、入院時の高血糖に対する治療、肝不全などでのGI(グルコース・インスリン)療法、糖尿病性の昏睡などで使用します。

ノボリンN : 中間型・ヒトイソフェンインスリン(NPH製剤)

ノボリンR:速効型・ヒトインスリン(レギュラーインスリン)

プロタミンというタンパク質でインスリン血漿を安定化させることによって効果時間を延長した、生合成(第二世代)インスリンです。
主に皮下注射で使用し、効果時間は6〜8時間で、大型犬で使用することが多いようです。

ノボリン30R、ペンフィル30R : 速効型+中間型(混合型)・ヒト二相性イソフェンインスリン

ノボリン30R、ペンフィル30R:速効型+中間型(混合型)・ヒト二相性イソフェンインスリン

強化インスリン療法(後ほど説明します)を1回の注射で出来るように速効型:中間型を3:7の割合で混合した生合成(第2世代)インスリン製剤で、混合の割合により他に40R(4:6)、50R(5:5)があります。
皮下注射で使用し、効果時間は6〜8時間ですが、速効型と中間型の2つの作用ピークがあります。小型犬で使用することが多いようです。

ノボラピッド30ミックス : 超速効型+中間型(混合型)・インスリンアスパルト

ノボラピッド30ミックス:超速効型+中間型(混合型)・インスリンアスパルト

ノボリン30Rと同様に混合型(超速効型:中間型=3:7)のインスリンですが、遺伝子組み換えで作られた(第3世代)インスリンアナログ製剤です。
効果時間も同様に6〜8時間ですが、ノボリン30Rと比較して1つめのピークが早めに出てきます。小型犬で使用することが多いようです。

ランタス:持効型・インスリングラルギン

ランタス:持効型・インスリングラルギン

遺伝子組み換え(第3世代)のインスリンアナログ製剤です。
効果時間は12時間ほどで、明らかなピークのないのが特徴です。
このインスリン製剤は猫で使われることが多いのですが、これは与えた食事を一気に食べないため、徐々に消化吸収されるためにピークのないインスリンが適していることになります。
もし、一気に食べてしまう猫の場合は他のインスリンを使用することもあります。