糖尿病講座11 : インスリンの選択は犬だからNPH、猫だからグラルギン!?

糖尿病講座を始めた頃と現在ではインスリンの種類がまた変わっています。
インスリン製剤の進歩は本当にめざましい物があります。
私も全てを使用してみているわけではありません。
現在当院で使用しているインスリンは5種類でこれを使い分けています。

血糖コントロールを開始する際のファーストチョイスとしては、原則として犬でNPH、猫ではグラルギンを使用するようにしています。
これでほとんどの場合コントロールが可能となるはずですので、是非これらのインスリンから初めて頂きたいと先生方にお願いしております。
しかし、中にはこれでは上手くいかない場合があり、一つの原因は食事との関連性です。
犬でNPHを使用する根拠は食事を一気に食べることであり、猫でグラルギンを使用するのはダラダラと遊び食いするからです。

NPHインスリンは中間型インスリンと言われ、2〜6時間ぐらいで効果のピークがあり、8〜10時間までかけてインスリンの効果が低下していきます。
これに対してグラルギンは持効型のインスリンとして、比較的一定した効果が10〜12時間持続します。つまり食事の摂り方に併せたインスリンということになるわけです。
ですから、遊び食いの犬、一気食いの猫では前述のインスリンが合わないことがあります。

実際に犬でグラルギンやデテミルを使用したり、猫でNPHを使用することがあります。
このため、血糖コントロール開始前には生活環境や食性をしっかりと伺うようにしています。

最近本邦で初めて動物用インスリン!!

ついに!猫用インスリンとしてプロジンク○R(ベーリンガーインゲルハイム)が発売されました。
とうとう動物の糖尿病にもスポットが当たり、インスリンが発売されたことに感涙を覚えています。

このインスリンは遺伝子組み換えヒトPZIインスリンという製品で、インスリンとしては1つ前の世代のインスリンということになりますが、注目すべきは1mlが40単位といわゆる“薄い”インスリンということで細かい調整がしやすいということです。

早速、当院もラインナップしなければと考えています。
今後も動物用インスリンのバラエティーが広がることを期待しています。