糖尿病講座13 : 糖尿病治療に新風① −連続血糖測定装置−

2017年9月に保険収載されてヒトの糖尿病治療で使用されている連続血糖測定装置のFree Style リブレ(Abott ジャパン:以下リブレ)が最近犬や猫でも応用されるようになっています。
当院でも現在(2020年9月)までに30匹の症例に使用しています。

何回かに分けてこのリブレについての詳細、使用方法と使用例などについて解説致します。

リブレの詳細

この器機は体表に装着したセンサーにリーダーをかざすことによってグルコース値を読み取ることが出来るようになっています。まずはこのリーダーとセンサーの機能について解説します。

センサー

体表に装着したリーダー

直径35mm×厚み5mmのセンサーは装着時に底面の粘着剤により皮膚へ固定されます。
そして底面中央ある7〜8mmの針が皮膚の下まで刺入し、グルコース値を測定できるようになります。装着時にこの針は金属製の芯により刺入しますが、装着後は芯がなくなって軟性の針となります。

犬猫では剃毛の必要があり、アルコール綿で皮脂を除去したあとにセンサーを装着します。
当院では粘着性を増大するために、外科用の接着剤を使用して脱落を予防しています。
装着されたセンサーを気にする症例はほとんどありません。
センサーは装着後60分からグルコース値の測定が可能となり、最長14日間連続測定ができます(使い捨てとなり必要に応じて新しいセンサーと交換になります)。

グルコースの測定可能範囲は40〜500mg/dLで毎分測定して15分ごとに平均値を記録しています。
そしてセンサー内には8時間分のグルコース値を記憶することができますので、最長8時間に1回リーダーで読み取る必要があります。

リーダー

手のひらサイズ(95mm×60mm×16mm)のリーダーはほとんどの操作をタッチスクリーンで行うので、スマートフォンと同様の操作感覚となっています。

グルコース値測定はホームボタンにより起動して、センサーにかざすだけで測定できます。
そして、測定と同時に食事やインスリン投与を記録することもできます。

血糖値の履歴は数値のほかに、グラフでも確認することができます。
ただしグラフの表示範囲は40〜350mg/dLとなっています。

記録されたデータは有線でコンピュータ(専用アプリケーションのダウンロードが必要)に転送することができます。
当院ではこのデータをメールして頂き、これを元に電話によるカウンセリングを行っています。