糖尿病講座8: インスリン製剤にはいろいろな種類があります。(その1)

インスリン製剤にはいろいろな種類があります。
犬や猫の糖尿病はその治療にインスリン製剤を使用しますが、そのほとんどすべてがヒト用の製剤を使用しています。

ヒト用のインスリン製剤は長年の研究によりその歴史は大きく3つの世代に分かれています。

第1世代は豚や牛から抽出したインスリン製剤。
つい20年位前までは主流となっていました。
ただこれはヒトにとって異種のインスリンになるため作用が不安定になったり、低下したりと不具合が見られました。

このためヒトのインスリンを多量に作れるようにと当時の最先端技術であったバイオテクノロジーを駆使して微生物にインスリンを作らせることに成功しました。
これが第2世代の合成ヒトインスリン製剤です。
これによりインスリンの作用は安定しました。

しかし血糖コントロールにおけるインスリン製剤への飽くなき欲求はさらに続きます。
それは強化インスリン療法(また別の時にお話しします)を完璧にすることを目標としたものです。
そのためには2種類のインスリン製剤が必要となります。

1つは注射してすぐにピークを示すインスリン。
もう1つはピークがなく長時間一定した効果を示すインスリンでした。
そして研究の結果とうとうインスリンの構造(アミノ酸配列)を一部組み替えてしまいました。
これが第3世代のインスリンアナログです。

現在は第2世代と第3世代のインスリン製剤が使われています。

当院ではイヌ用のインスリン製剤として4種類、ネコ用としては2種類を用意して治療に当たっています。
犬や猫でこれらのインスリンを使用する場合、やはり異種のインスリンですので、効果時間がヒトよりも一般的に短い傾向にあります。
また長年使用すると効果が低下してくると言われていますが、今まで長期間インスリン治療をしてきた症例を診ていますが、そのような症例はありません。

実際のインスリン製剤の説明は次回お話しします。

当院で使用しているインスリン製剤

分類インスリン製剤効果時間
速効型ノボリンR30~60分
中間型ノボリンN6~8時間
持効型ランタス10~12時間
混合型ノボリン30R
ペンフィル30R
ノボラピッド30ミックス
6~8時間