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副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

犬では内分泌疾患の中で最も発症率が高く、多くは8歳以上で発症します。とくに小型犬の発症は増加しています。副腎皮質ホルモンのうち糖質コルチコイドの合成分泌が亢進する疾患となります。猫での発症はとても少ない疾患です。

副腎ってなに?

副腎は腎臓の頭内側にあるとても小さな臓器です。 髄質と皮質に分かれていて、皮質はさらに球状帯、束状帯、網状帯の3層からできています。
球状帯はアルドステロンをはじめとする鉱質コルチコイド、束状帯はコルチゾルをはじめとする糖質コルチコイド、網状帯は性ホルモンをそれぞれ合成分泌します。
糖質コルチコイドはいわゆるステロイドホルモンといわれるもので、血糖値を上昇させるほかに、ストレスを中和するなどの働きがあります。
鉱質コルチコイドは腎臓に作用して電解質(ナトリウムトカリウム)のバランスと、水分量を整える働きがあります。

病因

下垂体の腫瘍化による副腎皮質の機能亢進(下垂体性副腎皮質機能亢進症、PDH)と副腎皮質自体の腫瘍化による機能亢進(副腎性(原発性)副腎皮質機能亢進症、AT)があり、前者は小型犬、後者は大型犬に多く見られます。

症状

多飲多尿、多食、体幹肥満(腹部膨満と四肢の筋量低下)、皮膚疾患、沈うつ・無関心などとなりますが、いずれも必ず出るわけはなく、出ても軽いものから重篤なものまでと個体差がとても大きいものとなります。糖尿病を併発すると病態は複雑になります。

猫では皮膚が突然裂けるという特徴的な症状があり、高率に糖尿病を併発します。

治療

トリロスタンという内服薬による内科的治療が主体となります。この内服薬の作用は副腎皮質のホルモン合成阻害であり、副腎皮質を破壊してクッシング症候群を治すものではありません。このため、一生服用する必要があります。また、内服薬の効果には個体差が大きく良好なものから、乏しく特殊な内服薬への変更が必要なこともあります。

このほかPDHでは下垂体が腫大する(巨大腺腫といいます)ことがあり、大脳を圧迫するようになると神経症状を示すことがあり、放射線療法や外科手術が必要になります。

当院では糖尿病を併発するなどの重篤な症例が多数来院しています。 重症例はカウンセリング枠でお受け致します。

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